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マウスピース矯正で治せる歯並び、治せない歯並び

ここ数年、歯列矯正の選択肢としてマウスピース矯正が注目を集めています。その理由は、目立たず取り外し可能な点が多くの患者様に支持されているからでしょう。
それでは実際にマウスピース矯正は、どのような歯並びに効果的で、どのような歯並びには不向きなのでしょうか?

このコラムでは、マウスピース矯正で対応できる症例とできない症例について詳しく解説致します。マウスピース矯正に興味のある方は知識として、参考にしてください。

contents

・ マウスピース矯正で改善できる症例

・ マウスピース矯正での対応が難しい症例

・ マウスピース矯正で失敗しないためには

マウスピース矯正で改善できる症例

私たちの歯並びは、遺伝だけでなく生活習慣によっても大きく影響を受けます。例えば、子供のころに続けていた指しゃぶりや、無意識に行ってしまう頬杖などの習慣は、軽度の不正咬合(ふせいこうごう)の原因となります。

不正咬合は歯を嚙み合わせた時に少し重なってしまったり、前歯がわずかに空いてしまう状態です。軽度のズレであれば日常生活において特に気にならない方も多いのではないでしょうか。

しかし不正咬合による微小な歯のズレも、笑顔や話す際の第一印象に影響を与えることがあります。さらに歯並びの悪い状態は、ブラッシングでの歯石除去が難しく、虫歯や歯周病の原因となる可能性が高くなります。

こうした軽度の不正咬合は、マウスピース矯正によって改善しやすいです。生活習慣や小さな癖が原因で生じた歯の微妙なズレや傾きも、マウスピース矯正であれば目立たず、効果的に治療することが可能です。マウスピースが透明で目立ちにくく、取り外しが容易なことから、食事や歯磨きのストレスが少なく患者様に人気があります。

では次に、マウスピース矯正での対応が難しい症例についてご説明します。

マウスピース矯正での対応が難しい症例

マウスピース矯正は軽度の不正咬合に効果的ですが、いくつかの症例では対応が難しく、工夫が必要な場合があります。

下記では3つのケースにおいて、なぜ対応が難しいかについて解説していきます。

ケース1.抜歯を伴う治療

まずマウスピース矯正での対応が難しい症例の一つとして「多くの抜歯を伴うケース」が挙げられます。一部の不正咬合では、歯の数や配置を整えるために、現存する歯を数本抜くことが避けられない場合があります。これは、マウスピース矯正での対応が難しい典型的な例です。

原因として抜歯治療は歯の移動量が多いことがあげられます。歯が大きく前後にズレていたり、上下の歯が適切に噛み合っていないなど、嚙み合わせに大きな問題のある場合は、マウスピース矯正の効果を発揮するのは難しくなります。抜歯治療は歯の大きさの条件や、移動量の条件など様々な要因を慎重に判断した上でマウスピース治療を行う必要があります。

ケース2.骨格の矯正を伴う治療

マウスピース型の矯正装置は、歯にかかる力がそれほど強くありません。
骨格の矯正を伴う治療では、顎の骨を切って動かす手術が必要であったり、治療には強力で持続的な力を必要とします。

しかしマウスピースは取り外しが可能なため、このような強力で持続的な力をかけるのが難しいとされています。そのため、骨格の矯正が必要な症例では、従来のワイヤー矯正(ブラケット矯正)や手術を併用するのが一般的となります。

ケース3.埋伏歯への対応を伴う治療

埋もれた歯のことを、専門用語で埋伏歯とよびます。埋伏歯もマウスピース矯正での対応が難しい症例の一つです。
正しい生え方をせず歯茎に埋もれている歯は、マウスピースの力が届かず適切な位置に調整するのが困難です。
埋伏歯のある症例にはブラケット矯正での治療が適切ですが、例外として埋伏歯がある程度歯列に誘導された後、マウスピース矯正に切り替えることは可能ですので、ご希望の場合は矯正歯科医にご相談ください。

マウスピース矯正で失敗しないためには

1.矯正治療の経験が少ない歯科医師はなるべく避ける

歯科医師の資格があれば、歯列矯正治療に関する知識や技術、経験がなくても歯列矯正の診療をすることが許されています。
矯正治療は診断や治療計画、トラブルへの対処など歯科医師の知識と技術、経験に頼る部分が多くありますので、なるべく矯正治療の経験が少ない歯科医師は避けることをおすすめします。

2.歯科医師に指示されたことをしっかり守る

一般歯科治療と違い、マウスピース矯正治療は患者様や保護者様の協力が必要です。
通院すれば良くなるということではないので、歯科医師の指示や注意、装着時間をよく守ることがマウスピース矯正で失敗しないポイントです。


マウスピース矯正に限らず歯列矯正の治療方法には、症例により相性があります。マウスピース単体での治療が難しくてもワイヤー矯正の併用で解決できたり、治療中の審美的なことを気にされるようでしたら裏側の矯正治療方法などもあります。
その診断には歯列矯正治療に関する充分な「知識」と「技術」と「経験」が必要です。

お手軽なイメージのあるマウスピース矯正ですが、ご自身がトラブルにあわないためにも専門の矯正歯科医にご相談されることをおすすめします。


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